赤いシリウスはレイリー散乱?
景行帝九(七九)年七月十一日(八月二十四日)
Vesuvio は前古未曾有の大噴火を起こしPompeii を灰燼の中に埋没した。鉄の檻 の中に繋 がれた飢たる獅子の目の光のごとくsirius が緑にいつまでも光を変えなかったことは、羅馬 帝国に長く語りつがれた伝説であった。『儺の國の星拾遺』p.54
シリウスと言えば冬の夜空に輝く青白い一等星だが、紀元前から2世紀ごろまで、シリウスが赤く見える時代があったと推測されている。
ローマの詩人セネカは「火星より赤い」と述べ、プトレマイオスは「アルマゲスト」の中で「赤い」という形容詞を用いており、「シリウス・ミステリー」といわれている。
青白いはずのシリウスがなぜ赤く見えていたのか。
『儺の國の星拾遺』によると、イタリアヴェスヴィオ火山の西暦79年の噴火が原因だという。
だとすれば考えられるのは、レイリー散乱だ。
火山の爆発的な噴火は大量の火山灰を大気中にもたらすからだ。
次は花火の煙によるレイリー散乱の例。
月と花火。
花火の煙でレイリー散乱がきいて月がたまに赤く見えます。 pic.twitter.com/MlUUg3a0Bq— 荒木健太郎 (@arakencloud) November 5, 2022
噴火とプトレマイオスの時代は整合するのか、火山灰はどれくらいの期間滞留していたのか、など疑問は残るが、シリウスが赤く見えた理由として挙げてもいいかもしれないと思った。