弥生時代に十進法 -須玖権(須玖遺跡群の分銅)-
ン十年前の子供なので、理科の時間に重さを量るのは上皿天秤と分銅だった。
対象物の重さの見当をつけて分銅を置き微調整していくあの緊張感と、ぴったり合ったときの達成感が好きだった。
ピンセットでつまんでそっと置く分銅の形も好きだったかもしれない。
その分銅が弥生時代にもあり、しかも国内最古の例が地元福岡で発見されたというので見に行った。
(緊急事態措置・警報・蔓延防止などで会期が変更になっていた。現在は終了。)
今で言う分銅のことを「権」と言うそうで、石製で最小は11.365gとのこと。
最小を1として、3倍・6倍・10倍・20倍・30倍のものが見つかっている。
数のまとめ方は色々あるが、須玖権は1倍・3倍・6倍なのだ。
これは面白いし素晴らしい。
使用する重りが少ないほど誤差が小さいし、効率よく測れる。
そして10倍・20倍・30倍権があるので十進法だったことがわかる。
弥生時代に十進法があったとは!
発掘された場所は春日市須玖遺跡群と言うところ。
他にも壱岐原の辻遺跡、大阪亀井遺跡などで見つかっている。
航海によるネットワークがあったのだ。
ちなみに、須玖遺跡周辺は青銅器やガラス製品とその鋳型が集中的に出土しており、弥生時代のハイテク工業地域として知られている。
まとまって出土した銅戈。
銅矛の鋳型。
ガラス勾玉の鋳型。
鏃の鋳型(量産型)。
併せて計量と計算に関する展示もされていて、そちらも面白かった。
江戸時代は「わり声」という、引き算の暗唱もあったそうだ。
そして手動式計算機に目がとまる。
養老孟司『唯脳論』だったと思うが、「計算機が計算する仕組みはとても簡単なのに、人間の脳で一番最後に発達した」と書かれていた。
だから簡単な足し算とかをさせると脳がものすごく頑張るので血流が増えるのだそうだ。
脳を活性化させるのに計算はとてもいいという話を思い出した。
ボケ対策をしなければ・・・・。