田付星
6月5、6日頃は二十四節気の芒種にあたる。
稲や麦など
芒種は太陽の運行に基づいたものだが、星の運行もまた農事の目安とされていた。
その一つがコップ座のAlkes。
別名を「
この星が夜空に見える春先から晩秋まで、人々が田漬けになる事から来た名前のようだ。(『儺の國の星拾遺』p.49)
コップ座はワインを入れる杯に由来しており、優勝カップ・トロフィーといった感じだ。日本人にはなじみがなさそうに思えるが、筑紫では早くからこの形が認識されていたらしい。
Alkesには他に「水引星」「有年星」「稲箋星」といった農作業に関する別名があり、「稲箋星」の名がコップ座の形に関係している。
時あたかも田を割って水を入れる季節でもあるところから
水引星 、或は有年星などとも呼ばれる。
(『儺の國の星拾遺』p.49)百姓は籾種を
笊 に盛って井戸の中に吊り下げ、寒の水に漬る。水温十五度が発芽を早めるからである。稲箋星の名がこれで、いずれも杯、或は盃の形に思いを遣 る名であったかもしれない。
(『儺の國の星拾遺』p.52)
乾いた田に水路の畝を立てたり籾種を盛る笊の形に見立てたり、この星は水田の準備を始める合図にもなっているようだ。
他にも季節に関する様々な別名があるので次回以降紹介していきたい。