2018年6月5日『儺の國の星拾遺』,Alkes,田付星

6月5、6日頃は二十四節気の芒種にあたる。

稲や麦など(のぎ)のある作物を播種する時節だ。

芒種は太陽の運行に基づいたものだが、星の運行もまた農事の目安とされていた。

その一つがコップ座のAlkes。
別名を「田付(たつけ)星」と言うそうだ。

この星が夜空に見える春先から晩秋まで、人々が田漬けになる事から来た名前のようだ。(『儺の國の星拾遺』p.49)

コップ座はワインを入れる杯に由来しており、優勝カップ・トロフィーといった感じだ。日本人にはなじみがなさそうに思えるが、筑紫では早くからこの形が認識されていたらしい。

背振山頂から見た2021年5月11日20時頃の星図(視野180°)

Alkesには他に「水引星(みづひきぼし)」「有年星(うねのほし)」「稲箋星(いなつきぼし)」といった農作業に関する別名があり、「稲箋星(いなつきぼし)」の名がコップ座の形に関係している。

時あたかも田を割って水を入れる季節でもあるところから 水引星みづひきぼし、或は有年星(うねのほし)などとも呼ばれる。
(『儺の國の星拾遺』p.49)

百姓は籾種を ざるに盛って井戸の中に吊り下げ、寒の水に漬る。水温十五度が発芽を早めるからである。稲箋星(いなつきのほし)の名がこれで、いずれも杯、或は盃の形に思いをる名であったかもしれない。
(『儺の國の星拾遺』p.52)

乾いた田に水路の畝を立てたり籾種を盛る笊の形に見立てたり、この星は水田の準備を始める合図にもなっているようだ。

他にも季節に関する様々な別名があるので次回以降紹介していきたい。