獅子座β星(獅子座の中で二番目に明るい星)Denebolaの別名を「綾歌星」と言うそうです。

星座図では獅子座の後ろ足部分になります。
(東天にあるときは中轅星の10°程下。)

〝あや〟とは〝あへ〟即ち北方を表現する古語であった。
綾歌 を高麗では斎歌 とよぶ旋律であった。〝さい〟は三の古語であって、あきらかに三拍子の音曲であった。大和の催馬楽 がこの系統であって、紫歌 、或いは雑歌 、時には設楽歌 、椎葉歌 、柴雅歌 などとも書かれた古曲であった。『儺の國の星拾遺』P.165
まとめると、北方を想起させる三拍子の楽曲、というところでしょうか。
日本の伝統的な音楽に三拍子の曲はないというのが通説ですが、著者によると、神楽舞の中にある三拍子の踏歌がこの「綾歌」なのだとか。
神楽舞の中に特に三拍子の踏歌があった。まさに遠い祖先の心からなる音を、足を挙げて神に謝する儀式であった。
(中略)
蝦夷で〝ゆうから〟、津軽で〝じょんがら〟、そして琉球で〝やあく〟と言う。もし漢人が音写するならば、寿語 祝歌と書くことになる。時には祖先伝来の歴史を綴る歌謡物語であり、又時には神に納める奉祝讃歌である。(『儺の國の星拾遺』p.165)
右の文中に出てくる〝ゆうから〟はアイヌ民族に伝わる叙事詩、〝じょんがら〟は三味線の伴奏がつく民謡のことだと思われます。
琉球の〝やあく〟はわかりませんでした。(個人的には「
〝j〟と〝y〟は硬口蓋接近音で似ています(〝じょんがら〟〝じゅご祝歌〟の語頭子音と〝ゆうから〟〝やあく〟の語頭子音)ので、当時の当地の人にこう表記される音曲があったと思われます。
それは単なる三拍子の楽曲ではなく、「時には祖先伝来の歴史を綴る歌謡物語であり、又時には神に納める奉祝讃歌」だったのですね。
デネボラは綾歌星の他に
*私注:「よかぐらぼし」の漢字は普通「夜神楽星」となるところですが、原文は「夜楽星」となっています。「夜神楽星」の脱字かもしれませんがそのまま書いています。