歳差によって北極星が動くとはどういうことか、ポラリスとツバーンがお互いに回っている様子とはどのようなものか、想像しづらいと言う方のため位置関係を簡単に図にしました。
まずはツバーンが北極星だったBC2700年の北の空です。
ツバーンを青で、ポラリスを白で囲んでいます。
中心の青い直線は天球に描いた子午線です。
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図①の状態から一時間毎の動きを図にしました。
青のツバーンはこの時代の北極星ですから、中心にあってほとんど動いていません。
ポラリスはツバーンの周りを回っています。これが日周運動です。
ほぼ24時間で一回りします。
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一時間毎の動き
次に2200年ほど時間を飛ばします。
ツバーンが北極星の位置から離れ、ポラリスが北極点に近づきつつある時代です。
丁度二つの星の中間に天球の北極点が来ているくらいのBC500年の北の空。
子午線を挟んで向かい合っているような位置です。
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図②の状態から一時間毎の動きを見てみます。
二つの星は対角線上にありますから、あたかも二連星のようにクルクルと回り合っている様子がわかります。
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さらに2500年ほど時間を進めます。
2019年現在の北の空です。ポラリスが北極星になっています。
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図③の一時間毎の軌跡です。
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ポラリスを中心にツバーンが周囲を回っています。
BC2700年とは中心の星が逆になりましたね。
歳差によって北極点にある星が移動する、ということがイメージできたでしょうか。
歳差は古くから知られていて、ツバーンが北極星だったことを知っている人達が脊振山を仰ぐ位置にいたことは確かなようです。
『儺の國の星拾遺』p.89に、「那珂川の遠い祖先が脊振山頂を天壇として
同じページに、「海神が青玉白玉を祭壇に供えて船人の海路平らけく安らけくを祈った頃(『儺の國の星拾遺』p.89)」とありますから、おそらくツバーンとポラリスがお互いに回り合っているように見えた時代の話ではないかと思いました。
別のいい方をすれば、北極点に星が無かった時代。
かつて北極点にあった星(=ツバーン)を、大切に語り継いでいたと思われます。
そして何事も無ければ再び北極点に星が来る時代となり、今度はポラリスを祀ったのかもしれません。
けれどもその後磁石の発明で真北を星で知る重要性が薄れ、また妙見北辰信仰なども入って来たので、北極点に関する祭祀の状況が大きく変わったと思われました。