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Zuhr④ 紅白は北欧由来 紅はフレイヤ白はユール

竿に白の二条の布を螺旋状に巻いたものを“なかて”といい、神を先導する器だとする話の続きです。

お祝い事などで白を用いるのが当たり前になっていますが、この2色について興味深いことが書かれています。

香椎宮司木下祝夫博士(一八九四~一九八〇)によれば、北欧の神話に出る二神で紅Fraiya(フライヤ)であり、白はJuhl(ユール)であり、が来る年、白は去る年である。

(『儺の國の星拾遺』p.129)

なんと白は北欧由来の色なのだそう。

フライヤというのはドイツ語風表記で、これは木下祝夫氏がドイツ語の専門家だからのようです。
一般には「フレイア」で知られる、愛と美と豊穣の女神。

フレイヤ By James Doyle Penrose (1862-1932) – 不明, パブリック・ドメイン, Link

がフライヤというのはわかります。
フライヤは暖色のイメージがありますから。

もう一方の北欧神ユールというのは、冬の象徴のようです。
(記事末に補足がアリます。)

北欧ですから冬は雪が積もりますね。
色彩としての白がイメージされるのだと思います。

紅が来る年、白は去る年である。」というのは、カレンダーの話ですね。

古代北欧人の一年は冬と夏の二期のみで、新年の始まりは春分の日だそうです。

緯度が高く寒い地域は季節が二分されるようで、北海道のアイヌの子が登場する漫画でも同じようなことを言っていました。

アイヌにとっての季節は冬と夏だけが交互に来る
」「」はその隙間にちょっとくっついてくるもの

冬は山へ狩りに行く「男の季節」で
氷が溶けて水になるとマッネパという「女の季節」が来る

(『ゴールデンカムイ』8巻/野田サトル/集英社)

アイヌの「冬が男の季節で夏が女の季節」という喩えは、夏(紅)がフレイヤで冬(白)がユールというのと似ています。

こういう背景が紅白の螺旋にシンボライズされ、私たちの生活に根付いているとしたら不思議で面白い話だと思いました。

【補足】
『儺の國の星拾遺』p.129に「北欧の二神」とありますが、北欧神話にユールという神は見当たりませんでした。
冬至祭の「ユール」ならあるのですが、祭は神ではありません。
またフライヤという人格神に祭という事象を対置するのは変です。
人格神に対置するなら同等の人格神であるべき、と思うのですが。

もしかすると日本語訳されていない北欧神話の中にユール神が登場する話があるのかもしれません。
あるいは日本語に訳される際に表記が変わり、「ユール」神でなく別の名前になっているのかも?
(ほら、言語の違いで同じ人物が「カール」だったり「シャルル」だったり「チャールズ」だったりするじゃないですか。)

女神フレイアと「ユール」を二神とする表現は、よくわかりませんでした。

参考にした本はこちらです。
・『神々のとどろき』 ドロシー・ハスフォード/ 山室静
・『北欧神話と伝説 』ヴィルヘルム・グレンベック/ 山室 静
・『エッダ―古代北欧歌謡集』谷口 幸男

『儺の國の星・拾遺』にはユールの話がしばしば登場しますので、参考までに紹介します。

冬至の神を北欧の民族はJolヨールと呼ぶ。(中略)歌劇Tanhauserの中の夕星の歌は冬至の夜、日没とともに地平線にあがるシリウスであるが、(中略)不思議にヨールの語韻は夜或は宵、或はシリウスの別名なる夜渡星よどのほし由良星ゆらぼしの名に対応する。

(『儺の國の星』p. )

ユールの語源はシリウスだそうです。
冬の夜空に輝く北天第一の輝星ですから、これはわかります。

けれどエジプトでは洪水を知らせる夏の星として知られていますね。
この場合、シリウスは明け方に見えています。

冬の星として見るか夏の星として見るかで民族の違いがわかるのですね。
住んでいる緯度も。

面白いです。

次もユールの話です。

北欧のノルマン民族はユールとフライヤの二神が去る年と来る年を渡しあう饗宴とされていた。ユールは夜であり、フライヤは冬であったと説く学者もあれば、又ユールは冬でありフライヤは春である説く学者もあり、二千年も昔の神話の解釈は西洋の本家本元でも、いろいろとわかれている。

(『儺の國の星拾遺』p.42)

フライヤを冬とする説もあるのですね。

紅白がフライヤとユールから来ているというのは、一つの説に過ぎないということです。

そして日本ではユールは大山祇神、フライヤは木花開耶媛に擬えているそうです。(ページ数をメモし忘れました。)

さらに補足です。

ユールというのは案外氷河期の記憶なのかもしれない、と思いました。

ネアンデルタール人が居なくなった約三万年前は、氷河期による氷床が拡大し始めた時期で、最終氷期最盛期(LGM)には北ヨーロッパ中の人類の居住地が放棄されたとのことです。
ものすごい時代だったのですね。

この時の太陽を待ち望む気持ちが間氷期になっても続いていて、冬が来るたびに思い出され冬至の祭になったのではないかと思いました。

ヨーロッパ各地にある「冬送りと夏迎え」「冬と夏の戦い」等の行事も同じかもしれません。

そしてまた氷河期には凍った川や海を渡った人たちがいて、生活できる場所にいろんな人種が集まったのかもしれません。

長く厳しいこの寒冷期の間、ヨーロッパ中の人類は退避地と呼ばれる、寒さから守られた谷や局所的に温暖な地域に移り住み、拡大する氷河をやり過ごした。このとき人類史上初めて、大勢の人が頻繁な接触を持つようになった。(中略)この頃の退避地は、世界初のシンクタンクだったといえるかもしれない。

(『最古の文字なのか?』p.91/ジェネヒーブ・ボン・ペッツィンガー)

次は東アジアのY染色体ハプログループの移動を図にしたものです。
氷河期だけでなく何時の時代も、人は移動し混じり合っているのだと思いました。

Migration_map_of_Y-DNA_haplogroups_in_East_Asia
By ABCEditer投稿者自身による作品 様々な文献を基に作成崎谷満『DNA・考古・言語の学際研究が示す新・日本列島史 日本人集団・日本語の成立史』(勉誠出版 2009年)中国北方新石器文化研究の新展開【詳細報告】「東北アジアにおける先史文化の交流」 王 巍(中国社会科学院考古研究所・副所長)Yinqiu Cui, Hongjie Li, Chao Ning, Ye Zhang, Lu Chen, Xin Zhao, Erika Hagelberg and Hui Zhou (2013)“Y Chromosome analysis of prehistoric human populations in the West Liao River Valley, Northeast China. “ロシア極東新石器時代研究の新展開澤田洋太郎『日本語形成の謎に迫る』(新泉社、1999年)Kun, Ho Chuan (2006). “On the Origins of Taiwan Austronesians”. In K. R. Howe. Vaka Moana: Voyages of the Ancestors (3rd ed.). Honolulu: University of Hawai’i Press. pp. 92–93徳永勝士 (1996) 「HLA の人類遺伝学」『日本臨床免疫学会会誌』=『Japanese journal of clinical immunology』19(6), 541-543岡正雄 『異人その他 日本民族=文化の源流と日本国家の形成』 言叢社 1979 他, CC 表示-継承 4.0, Link
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