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王城神社(太宰府市)

太宰府市の王城神社。


拝殿の由緒額によると、事代主を祀る社として九州最古だそうです。

神社の歴史や由来については、戦国時代以前のものは兵火で消失したため、江戸時代に上梓された『王城神社縁起』が基本になっているそうです。

九州国立博物館の映像アーカイブスに一部登場しますので紹介します。(1分46秒あたりから。)

地元の方がわかりやすくまとめておられます。

   

王城神社の成り立ち

 神武天皇が日向国ひゅうがのくにを発たれ、筑紫の地に上陸されて四王寺山に城を築き、行在所あんざいしょ(天皇の仮宮)を建て、田中熊別くまわけに警固を命ぜられた。そして、この嶺に武甕槌命たけみかづちのみこと事代主命ことしろぬしのみことを相殿に祭って、東夷とういを平定せんことを祈った。
 その後天智天皇の四(665)年に大野城(四王寺)・きい城が築かれ、太宰府政庁が建てられたとき、山上に群衆が参詣のために集まってくるのを避けるため、事代主命を国衙庄こくがのしょう(通古賀の扇屋敷)に移された。王城山(四王寺山・大野城)の御神であるので、王城大明神と崇め奉った。
 これが王城神社の始まりで、今から1300年前のことである。

(『とおのこが風土記』p.44)

神武天皇が四王寺山に事代主命と武甕槌命を祀ったことが始まりだったのですね。

記紀にはない伝承です。
(福岡にはこのような神武天皇の伝承が各地にあります。)

その後天智天皇が大野城(四王寺山にある古代山城)を築いたとき、現在地に遷したのだそう。
事代主命は、神武天皇にとって山城の守護を恃むような存在だったのに、天智天皇は違っていたのでしょうか。
(バックアップしていた氏族の違いかもしれません。神武天皇は田中熊別、天智天皇は中臣氏?)

武甕槌命は『王城神社縁起』によれば、春日市の春日神社に遷っているそうです。
「武甕槌命は儺県にて鎮め奉り、春日大明神と崇め奉る。」
『筑前國續風土記拾遺』にもこのことが書かれていました。

境内を見ていきます。

鳥居そばの大木。

盃状穴のある手水。

井戸の跡

屋根は檜皮を銅板で覆ってあるようです。
破風飾りは鶴。

紋は檜扇?
鬼紋は檜扇ですが、懸魚は扇です。
多分懸魚の方は細かい細工が出来なかったためこのようになったと思われます。

梁を噛む鬼?や浪と兎の彫り物もありました。

境内摂社がありました。『王城神社縁起』によると、祭神は「太神宮、田神、金比羅、馳駅司殿はいましどの(早馬大明神)」とのとこです。

大黒様が置いてあり、もしかすると大国主が祀られているのかもしれない、なんて思いました。
(だってここは事代主の社なのですから。)(妄想です。)

楠の大木の下に猿田彦大神とえびす神の碑があります。

『筑前国続風土記拾遺』には、「社内に早馬大明神とて大楠の下に石躰あり。」とあり、早馬大明神とは田中熊別の末裔を祀ったものだと書かれています。

これがその大楠なら、田中熊別の末裔を祀った場所ということになりますね。
明治に薬師山に遷したという話も伝わっているようで、石躰のことはよくわかりませんでした。

大切に残されていた「田中橋」の碑。

この橋は架け変わって今もあります。
写真を撮ってきましたので、別の機会に書こうと思っています。

住宅街にひっそりと建っている神社ですが、往時は大宰府の代々の長官や役人が参詣し、菅原道真も時々参詣したほどだったそうです。

余談ですが、『儺の國の星拾遺』には天智天皇が水城を疎水式に船を通す湖にした話があります。(参考:Zuhr⑩
事代主を四王寺山から降ろしてここに祀ったのも天智天皇だとしたら、その時ここは水につかっていなかったことになります。

大城神社が冠水しない場合何処まで水が来るのか、海面上昇シミュレーションで見てみました。
すると次の図の斜線部分になりました。


(国土地理院・カシミール3Dスーパー地形で作成)

あら、案外狭い。

現在の標高で考えると、大城神社が水没しない水面高度にするとそうなるのです。

そして、王城神社から針摺までは陸地です。
舟はどうやって行き来したのでしょう。

水路で繋ぐとしても、針摺峠の南側にも瀦水が必要な気がします。

大雑把に言えばこんな感じかな。

現在と同じ地形だったとして、伝承が本当であればこんな感じになるはず。
これはちょっとした発見でした。

まあ、伝承が史実を反映しているのかはわからないことです。

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